下の廊下(黒部ダム−阿曽原温泉往復)
その1

2008.11.2〜3

【はじめに】
11月2〜3日に下の廊下へ行ってきました(黒部ダム−阿曽原温泉小屋の往復)。往復にしたのは、欅平まで下って交通機関を使って扇沢に戻ると(車を回収)交通費が嵩むしかえって遅くなるからです。
このコースは、妻からずっとせがまれていたものの私が高所恐怖症・トラバース嫌いのため10年以上二の足を踏んでいたものです。近年雪が遅くてこの時期の新雪の山ははずれっぱなしだし、標高の低い下の廊下ではまだ紅葉が見られそうなので出掛けた次第。
ひょっとするとこの連休までは営業しているのではと阿曽原温泉小屋に問い合わせてみるも、無情にもやはり10月末までとのこと(温泉ありの小屋泊り楽チンハイキングという妻のもくろみはもろくも崩れ去った)。しかたなく最低限の幕営装備(但しツエルト)を持っていくことになりました。デジタル一眼レフと万が一のための最小限のクライミングギア(ヘルメット・ハーネス・ロープ・確保器具等)と合わせると結構な荷物になります。それでもヘルメットハーネス等は行程中ずっと着用、カメラもたすき掛けにしビナで固定したので、二人とも35Lザックに収めることができました(経験上ザックを大きくすると必要以上に荷物を増やしてしまうので)。
扇沢から見上げる後立山は白くなっており心配しましたが下の廊下は黒部ダムでも1470m、雪は全くありませんでした。
天気は両日とも概ね曇り、往路(下り)は時折日差しもありちょっとスリルのある紅葉ハイキングを楽しむことができました。復路(上り)は一雨来そうな気配、比較的早く出発したおかげで雨につかまる前に危険箇所を通過でき助かりました。
紅葉は棒ノ木平あたりから、周囲の風景とのバランスを考えると十字峡からS字峡の間が特に良かったです。2人合わせて600枚くらいの写真を撮ったものの下手な鉄砲はいくら撃っても当たらないらしく結果にはがっかりです(出発が1日遅かった)。  
なお、ヘルメットにハーネスという出で立ちは他の人からは場違いに映ったようですが、断崖絶壁のへつり道で写真を撮るにはとても役に立ちました(撮影中は必ずセルフビレーをとった)。
このルートは最近では赤実線の一般ルートとなっているようです(10年以上前のガイドマップでは破線)。確かに、標高差は600m弱、問題の水平道にもほぼ全域に手がかりのワイヤーが張られ、高巻く所は丸木梯子が設置されています。
しかし、上高地−槍沢−槍ヶ岳より距離は短いとはいえ、こちらは途中に小屋のないロングコース(阿曽原まで18km)。また、大半を占めるへつり道は高度感があり、落ちると即死という感じの危険地帯に思えました。難しいところはないけど危険だし標高差のわりに疲れるルートというのが私の実感です。
核心部は(1)黒部別山谷出合の手前の高巻き〜白竜峡付近(2)半月峡・S字峡周辺でしょうか。
(1)では黒部別山谷出合のスノーブリッジの通過(スノーブロックで補強し上を通るようになっていた)と2箇所の数連の長い丸木梯子で高巻くところ(特に白竜峡の方は高度感あり)。また足元が不安定な箇所が多く桟道となっているが細い。
(2)は、細い桟道や非常に高度感がある箇所が続く。写真のポイントが多く撮影中は要注意。
 阿曽原温泉小屋は小屋閉めの最中、電話で問い合わせたときは水場も露天風呂も使用不可とのことでしたが、いずれも利用できました。しかも営業終了後なのでテン場使用料も含めすべて無料でした。
テン場は小屋の一段下に位置し20張程のスペースあり(2日は10張ほど)、給水設備・水洗トイレもあってなかなか快適です。
 露天風呂はテン場からさらに5分ほど下ったところにあります。ヘッデンをつけて山道を歩きましたが、真っ暗で本当に風呂があるのか不安になりました(熊も怖いし)。それでも山中で風呂に入れるのはありがたいです。
 【山行データ】
 日程11/2−3 前夜発、阿曽原温泉幕営1泊2日
 コースタイム等
 11/2曇り時々晴れ
扇沢7:30-(トロリーバス)-黒部ダム7:46/8:00−内蔵助谷出合8:45/55−鳴沢小沢道標9:45−新越沢合流点道標10:14−滝(水場)のあるテラス10:17/27−(*1)−黒部別山谷出合(*2)11:22−(*3)−白竜峡道標12:04−十字峡13:01−作廊谷合流点道標13:53−半月峡道標14:08−岩小屋14:11/25−東谷吊橋15:03/13−仙人ダム15:30/36−人見平15:42−権現峠16:03−阿曽原温泉小屋16:20/25−テン場16:28
*1黒部別山沢出合の手前10分くらいに「丸木梯子による高巻き」、復路(上り方向)が高度感あった(下りになる)。 
*2スノーブリッジの通過方法は時期によって異なる。このときは上を通過。 
*3白竜峡道標の手前数分のところに「丸木梯子による高巻き」。3連の長いもので非常に高度感あり。ここも復路(上り方向)が怖い(下りになる)。
 11/3曇り一時雨
阿曽原温泉小屋テン場5:42−権現峠6:07−仙人ダム6:34/39−東谷吊橋6;56−半月峡道標7:49/55−作廊谷合流点道標8:12−十字峡8:56/9:01−白竜峡道標10:00−黒部別山谷出合10:31−滝(水場)のあるテラス11:10/25(休憩中に降り始める)−鳴沢小沢合流点道標11:58−内蔵助谷出合12:49/53−黒部ダム14:16/30−扇沢14:45
内蔵助谷出合−新越沢出合(対岸)
      
左:内蔵助谷出合 中:棒ノ木平(対岸は鳴沢小沢) 右:新越ノ滝(対岸)と休憩ポイントにある滝(水場) 
新越沢出合−黒部別山谷出合
水平道のすぐ下にはスノーブリッジやブロックが残っていた(中)
 
  右:黒部別山谷出合手前の高巻き 右:黒部別山谷出合のスノーブリッジ(雪をつめて渡れるようにしてある)
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