針ノ木峠越え(針ノ木谷)
(北アルプス北西部・後立山連峰)その4

ウェストンの足跡を訪ねて

2013年8月26日~27日(幕営1泊2日)
 その4
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【山行記録つづき】
 /26(月)晴れのち曇り夜間雨
2.針ノ木谷出合まで(針ノ木谷コース前編)  
槍穂高の展望写真を撮った後は、行動食で補給しながら、これから下る針ノ木谷方面の観察に充てた。地形図でチェックしておいたポイントと照合しながら、大雑把なイメージを頭に描いた。
 針ノ木峠より針ノ木谷方面
針ノ木谷への降り口は、峠の南側、針ノ木小屋ベンチのすぐ近くにある。今回は『平ノ渡場・五色ヶ原方面』の道標ですぐにわかった。小屋で聞くつもりだったが、簡単に見つかりその手間が省けた。
実は、3年前(6月)の山行ではこの降り口を特定できなかった。当時もその辺りに雪はなかったのに、どういうわけかこの道標を見つけられなかった。下の右画像を見る限り、目の前に立っているのだが・・・・・。
 9時過ぎに針ノ木峠を出発。
左9:03針ノ木峠出発。「針ノ木谷コース」は峠の南側の道標の所から下りる。
右2010年6/7の画像。人物(私)が邪魔で分かりにくいが、道標はなかったような?
ところで、現在の針ノ木谷コース(下降の場合)は、①針ノ木谷出合まではその左俣に沿って下降、②出合で本谷と合流後は、針ノ木谷沿いを南沢出合まで下り、③さらに、左岸の高巻道を平の渡し渡船場まで歩くもの。
①の下部は小滝もある急流だが水量は少なく、針ノ木谷出合~船窪岳分岐を合わせた部分はガイドマップでは破線表示の一般路となっている。
他方②はのうち船窪岳分岐より下流は、幅も水量も①より多く、大滝もいくつかあるため、沢を忠実に辿るのであれば①より明らかに困難だが、近年『針ノ木古道(右岸の高巻道)』が再整備されたため、最近のガイドマップは実線の一般道扱いとなっている。
ちなみに、『針ノ木古道』復活前の古いガイドマップでは、①及び②の船窪岳分岐までが実線、②の船窪岳分岐より下流域が破線と、最近のものとは反対の表示となっている。このことから、船窪岳分岐(船窪岳出合)より下流域は、高巻道を利用し、安易に沢を歩かない方が無難なようだ
 ところで、ウェストンは1893年8月8日に針ノ木峠より針ノ木谷へ下降しており、『日本アルプス登山と探検(W.ウェストン・岡村誠一訳/平凡社ライブラリー)』には、峠からルートを観察したときのものと思われる記述があった。
<針ノ木峠から針ノ木谷方面の様子>
南のほうにはこれからおりなければならない谷間が傾斜している。その手近の斜面は、おもに赤楊(はんのき・ハリノキ)と五葉松の低く這った枝でおおわれていた。この赤楊があるのでこの峠は針ノ木峠と呼ばれているのである。こちら側にはほとんど雪がなく峠の上のほうに近い藪の合い間には、古い峠路のかすかな踏み跡があちらこちらに見えた。
<針ノ木谷下降(南沢出合までの様子か?)>
下の峡谷へと大急ぎでおりると、私たちはまもなく針ノ木川の急流に着いた。これからは下山が非常に困難になって来て、時々は、もしもの場合にと持ってきた強いロープを、使わなければならなかった。川床は非常に急峻で、岩は非常に大きいので、一足毎に最大の注意を払わなければならず、四方の壮大な眺めを楽しむ機会はほとんどなかった。時々、息をつける場所で一休みすると、壮大な城のような花崗岩の絶壁が眺められた。その絶壁は、頭の上1500mの上に、野性的に木もなくそびえていた。一方遠くには、立山つまり「目標に立つ山」の堂々とした姿と、雪襞のついたその山腹が、私たちをさし招いていた。
<針ノ木谷下降(南沢出合~黒部川?)>
この大山峡が流れ早い黒部川のもっと平らな谷間につづく時、下山はだんだん楽になってきた。この黒部川はここを通って日本海に注ぐのである。幅広いこの谷川を見下ろすと、向こう岸の険しい堤の上に、昔峠越えの旅人をとめた黒部の山小屋のほんとうにわずかながらの名残があった。私たちは川を渉り、その小屋の下の岩の突出部の険しい表面を心楽しくよじ登り、三時十五分過ぎに、その小屋の崩れかかった屋根の下に立っていた。
話を私たちの山行に戻す。
峠にいた10人ほどのハイカーのうち、針ノ木谷コースへ下るのは私たちだけ、「2,3日に1パーティーあるかないか」と聞いていた通りだった(山行中逆コースも含め同じルートを歩いたパーティーには全く会わなかった。)。
下りはじめは、普通の登山道、段差のある所には丸木梯子もあり歩きやすい。
 9:10下りはじめは普通の登山道。
 
9:12段差のあるところは丸木梯子もある 後述の針ノ木谷「左俣中間部の二俣」は辺りだろうか?
 
梯子の後は、開けた山腹から(左9:16)、樹林の中の登山道(右9:21)となった。
 
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