中ノ谷からザラ峠
(北アルプス北西部・立山連峰
ウェストンの足跡を訪ねて

 2014年6月30日〜7月1日(幕営1泊2日)
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山の手帳
 【山行記録つづき】
 2.中ノ谷へ(平の小屋〜刈安峠〜中ノ谷)
平ノ小屋11:48/53--刈安峠13:33/58(1880m・休憩・準備)--(バンドトラバース)--尾根下降開始14:18--(急なリッジ/下部は懸垂下降15m*2)--中ノ谷1720m地点(雪渓尻)16:08--(左岸へ渡り雪渓上へ)--幕営地(中ノ谷1750m地点)16:28
平の小屋(11:48/53)と水場12:05 
 平の小屋から五色ヶ原方面の登山道を10分程で続けて2箇所小沢を渉る。平の小屋の水の水源でとても美味かった。この先一般道では五色ヶ原まで水場はなく、小屋の営業期間外にはありがたい存在。
 
しばらくはヌクイ谷左岸沿いの一段高い所を歩く12:15 
 
(左画像)1951m峰南東尾根に絡みながらヌクイ谷の枝沢沿いの登山道を登る
(右画像)頭上が開けて後立山連峰を振り返る。南沢岳と槍のような烏帽子岳13:28
 
 ヌクイ谷を挟んで木挽山(手前)と奥木挽山(奥)が見えた13:28
 
平の小屋からの登山道がヌクイ谷と中ノ谷との境界尾根へ上がった地点が刈安峠。ここから尾根道を左(西)へ向かうと五色ヶ原。
一方、今回の山行目的である中ノ谷は、刈安峠から下降する(廃道となっているが、かつては登山道があった)。そこで、道標の背後(北)へ行ってみると、確かに、踏跡らしきものがあるにはあったが・・・。
 刈安峠13:33/58
登山道のある南面には一応道標がある
刈安峠の北側はテント1張りなら十分な小平地。雪でL字型に折れ曲がった木が邪魔だが、その先西方へは踏跡のようなものが続いていた(獣道にしては広い)。ザックを下ろし準備がてら昼食にする。
出発間際に降ってきて、雨具を出していると、下の藪がガサガサと動き落石の音がした。中ノ谷遡行者が登って来たのかと思ったが、一向に上がってこない。嫌な予感がして熊鈴を鳴らしたり大声でしゃべったりして積極的にこちらの所在を知らせる(monchanは何をしているのか分からなかったらしい)。すると、唸り声がしてその気配は遠ざかって行った。
 (左)刈安峠の北側の小平地
 (右)小平地から西方へ続く踏跡のような水平バンド
踏跡のような水平バンドを10分程辿ると、急だが木々の間が広い尾根に出た。かつて登山道があったとしてもおかしくない様子。ただ、最近はほとんど踏まれておらず、雨でぬかるんで、おそろしく滑る。その下り始めで、たった今、樹皮を剥がされた大木に行き当たった。そこには真新しい爪痕が残っており、やはり、さっきのは熊だったようだ。
熊の縄張りと分かった以上この尾根を歩くのは危険。そこで、見通しのきく尾根の左のガレ沢を下ってみるも、尾根以上に急な上、浮石だらけで断念した。
次は右の藪っぽい沢型に挑戦してみたが、kniferidgeがスリップして滑落、必死で灌木を掴み10m程で止ったが、下は切れ落ちた岩場となっており、ぞっとした。
必死で登り返して元の尾根へ戻り、ロープを出すことにする。するとmonchanが「ピッケルとアイゼン出したらどうかね」。そういえば、数年前の6月、松尾峠から立山温泉跡へ下ろうとして(敗退)、同じような目に遭ったことがあり、持参したバイルとクランポンが役だったことがあった。早速試してみると効果は絶大。暫くはその組み合わせで下降し、最後の崖状は30mロープ2ピッチで懸垂下降した。 
降り立った先は中ノ谷の1720m地点(高度計の読み)、ズタズタになった雪渓の末端近くで、その切れ間には轟々と水が流れていた。 
 樹間の広い急なリッジの下降
 刈安峠の方を振り返る(が下って来た尾根)
 
さて、幕営地探し。雨脚は強くはないが既に2時間以上雨ざらしの状態、気温も7℃しかなく、かなり寒い。着地点より少し上流は、安定した雪渓となっているのが見えるので、そこをテン場にすることにした。
すぐ先のスノーブリッジを渡って右岸からアプローチ、簡単に上がれると思ったら、ゴーロと雪渓の間の流れは川幅があるし水勢も強そう。沢歩きの用意をしていなかったので、靴を脱いでの渡渉は最後の手段として、一旦引き返す。
中ノ谷のかつての登山道は左岸にあったことを思い出す。左岸もズタズタの雪渓歩きがあったり、出だしが短いへつりとなったりしたが、その後は踏跡らしきものも見つかり、飛び石伝いに水流を渉ると目指す雪渓に無事上がることが出来た。
落石リスクの小さそうな場所を選んで大急ぎでテントを設営する。
(左)すぐ先に安定した雪渓が続いているのが見えた。右岸からそこを目指したが、渡渉が必要と判明し、引き返す。
(右)次は左岸へ行ってみる。出だしは崖状のへつりとなったが、その先に踏跡らしきものもあり、飛び石伝いに雪渓上へ上がることが出来た。
 
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