|
右岸からの観察で主稜Ⅷ峰へ登るラインは大雑把に把握できたので、大雪渓を左岸へ渉る。そろそろ雪崩も落ち着くころとは言え、大規模なデブリを目の当たりにするとやはり気分は良くない(4/28に雪崩死亡事故発生)。
|
|
ところで、白馬岳主稜の取付は、主稜Ⅷ峰とⅨ峰(主稜末端の段状地)間のコル。白馬尻からⅧⅨのコルへは、私たちは当該コルから南側に展開する山腹(三角形状の広い斜面、以下Ⅷ峰南斜面と呼ぶ)を登った(上掲画像の赤ライン)。
まず、①大雪渓左岸からⅧ峰南斜面へは、いくつかある雪のルンゼのうちデブリがないものを適当に選んで登った。一昨日の雨の影響か明確なトレースはなかったが比較的傾斜が緩く、クランポンなし、アックスはルンゼを抜ける直前までは必要なかった。抜けた先には緩傾斜帯があり、そこで大休止(昼食・クランポン装着等登攀準備)。 |
Ⅷ峰南斜面に上がってからは、休憩地点の少し左(西)に見えたトレースに従った。
それは②緩傾斜帯よりⅧ峰から南東へ伸びる小尾根(以下Ⅷ峰南東稜とよぶ)へ向かって左上し、③南斜面中間部からはⅧ峰南東稜沿いを登るものだった。
因みに、上掲画像から判るように、Ⅷ峰南斜面は下部が緩傾斜帯、中間部がハイマツの点在する急傾斜帯となっており、傾斜が変わる所にベルクシュルントが開いていて、アプローチにおける難所となっている。
|
緩傾斜帯からⅧ峰南東稜へ |
バンド手前にはベルクシュルント |
|
ベルクシュルントは、可能なところは回避し、いくつかは慎重に足場を確かめながら跨いだ(∵雪が緩んで支持力がなくなっていた)。続く急斜面は頭上の雪壁を避け右寄りの灌木帯沿いに登れば特に問題なし。 |
シュルントを跨ぎ右の草付沿いから頭上の雪壁越えると広い雪の斜面 |
|
その先は一旦傾斜が緩むものの、上に行くほど急になり、Ⅷ峰南東稜の頭に相当するピーク(幕営地)の直下はベルクシュルントもある雪壁状だった。また、下部では然程気にならなかったものの、雪壁付近は強い西風に吹かれ、何度も耐風姿勢を取らなければならなかった。 |
|
雪壁を登り切ると草付台地(Ⅷ峰南東稜の頭)、さらにその北側は再び雪に覆われⅧⅨのコルまで幅広の尾根が続いていた。ⅧⅨのコルやこのⅧ峰手前のピークは何れも幕営適地。既に16時近くになっており、強風に晒され疲労を感じていたのでコルまで登るのは止めて、この手前の小ピークでフォーカストビバークすることにした。 |
|