ウェストンの足跡を訪ねて
針ノ木雪渓から針ノ木峠
針ノ木岳・蓮華岳
(北アルプス 2010.6/6(日)〜7(月))
前夜発1泊2日(針ノ木峠幕営)
その3蓮華岳・下山
  
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蓮華岳

6/7晴れ
3.蓮華岳・下山
スリーシーズンシュラフだったので夜は十分暖かかったが、外を歩き回る音で目が覚める。時計を見るとまだ2時、お隣はもう準備を始めたと見える。蓮華岳途中まで登って針ノ木岳を撮るだけだから慌てる必要はなくもう一眠り。次に目が覚めたときはもう明るくなっており朝焼けは終わっていた。ただ、空気が澄んでおり富士山や南アルプス等遠くの山は昨日以上によく見える。

のんびり朝食を摂っているとこの日一番の人(単独)が登ってきてびっくり。挨拶を交わしただけで、休むこともなく針ノ木岳へ登って行った。
蓮華岳の準備をしているとまた単独の人が登ってくる。ライチョウを撮りに蓮華岳へ行くというこの人は、先週も来たということだが、朝なのにアイゼンなしストック1本だけで登ってきていた。

ようやく重い腰を上げ蓮華岳へ向かう。少し登ったところで写真を撮っていると針ノ木岳からすごい勢いで一人下りて来る。よく見るとお隣りさんで昨日の印象とは違いトレイルランナーみたい、峠を素通りしてあっという間にこちらに登ってくる。スピードが違いすぎるので少し待って道を譲った。

針ノ木峠と針ノ木岳 蓮華岳

蓮華岳は雪田を歩く部分があったが大半は夏道が出ておりアイゼンは要らなかった。針ノ木岳を撮れれば良いと思っていたのだが、いざ歩いてみると雄のライチョウが現れたり(前述のライチョウ氏は収穫がなかったとのこと)、剱岳の展望が予想外に良かったりして結局頂上まで登ってしまった。

針ノ木岳とスバリ岳
針ノ木岳・スバリ岳の稜線の背後に立山と剱岳が見える
岩小屋沢岳〜爺ヶ岳の背後には鹿島槍ヶ岳〜五竜岳〜白馬岳が見えている
表銀座の山々(背後中央のスカイライン)
頂上に着くと先のトレラン氏が写真を撮り終えて下りるところだった。私たちより一回りくらい年長らしいこの人、植村直己ばりに海外各地の山を渡り歩いており、無口かと思いきや話し出したら止まらない。ちょっと閉口したがアルプス・ヒマラヤ・アフリカ等の海外の山や国内の冬バリエーションの話はなかなか興味深かった。

峠に戻るとトレラン氏が雪渓を下るところだった。
こちらもテントを撤収して下山にかかる。予報どおり下り坂、いつの間にどんよりした天気になっていた。急な出だしがちょっと心配だったが軟雪なので全く問題なし、雪渓は1時間くらいで終わり、トータルでも登りの半分の時間で下山出来た。

蓮華岳山頂付近
針ノ木雪渓の下りは出だしがちょっと急
(雑感)
・慎太郎祭(開山祭)が6月の第一日曜日となっているのは雪渓状態がよいだけでなく、ぎりぎり入梅前で比較的晴天率が高いからかもしれない。大分前からこの日を狙って計画していたのだが、おかげでルートファインディングや技術面で容易かつ楽に登れたばかりか、素晴らしい展望に恵まれラッキーだった。
・針ノ木雪渓はいわゆる三大雪渓(一般ルート)で唯一登ったことがなく気になっていたコース。評判どおり白馬や剣沢と比べると急だが、峠までずっと雪渓歩きができて快適。この時期は下りが楽なのがよい。
・針ノ木岳は予想していたより残雪が多かった。雪稜経験が乏しいためちょっと緊張する場面もがあったものの、比較的安全な時期でよい練習になった。
・蓮華岳はコマクサで有名なことは知っていたが、なかなか展望がよく2日の日程とした甲斐があった。

【行程】前夜発1泊2日(針ノ木峠幕営)
6/5自宅(横浜)21時ころ=第三京浜・環八経由=調布IC=(中央道・長野道)=豊科IC==扇沢公営駐車場6/6 1時頃着仮眠

6/6針ノ木岳登山口(扇沢)−大沢小屋−(針ノ木雪渓)−針ノ木峠(テント設営)−針ノ木岳−針ノ木峠(幕営)

6/7針ノ木峠−蓮華岳−針ノ木峠(テント撤収)−(針ノ木雪渓)−大沢小屋−針ノ木岳登山口(扇沢)=豊科IC=(長野道・中央道R16R246経由)=帰宅

【山行データ】
6/6晴れ
針ノ木岳登山口(扇沢)7:35−(注1)−大沢小屋8:19−(アイゼン装着8:33〜49:注2)−“ノド”の下の広場(慎太郎祭り会場1850m)9:00/05−ヤマクボ沢出合10:10/15−針ノ木峠10:55/11:45(テント設営)−(注3)−針ノ木岳12:50/14:26(昼食展望写真)−(ロープ使用:注3)−針ノ木峠15:20(幕営)

(注1)針ノ木岳登山口(扇沢)は扇沢の車止めゲート(先は関電工事車両道)の左脇の登山届けポストのるところ。登山道は当初関電工事車両道(籠川左岸側)をショートカットするように付いているが、しばらく歩くと残雪のある籠川右岸の作業道を歩いて堰堤を越える(残雪の有無でコースが変わる)。雪渓上を左岸に渡り返して少し夏道を歩くと大沢小屋に出た。
(注2)大沢小屋から左岸側の夏道を10分ほど歩くと雪渓尻、以後針ノ木峠まで雪渓歩きとなる。標高1850〜2000mくらいが通称ノドと言われる急登だが傾斜は最大35度くらいか?
ノドを過ぎると傾斜が緩みヤマクボ沢出合(山スキーヤーの多くは右俣のヤマクボ沢を登る)、ここから針ノ木峠は左俣を登るがこちらも右俣ほどではないにしてもノド以上に急で、峠直下は40度くらいありそう。
(注3)針ノ木峠〜針ノ木岳はまだほとんど雪稜歩きだった。急な北側山腹の長いトラバースが2箇所あり、頂上直下には最大45度・15mくらい(?)の雪壁があるためピッケル・アイゼンが必要。気温が高く軟雪だったため問題なかったが早い時期や朝夕で堅雪のときは我々初心者には特に注意が必要。30mロープを持参していたのでロープワークの練習も兼ねて雪壁の下り・トラバース(復路)で使用した。

6/7晴れのち曇り
針ノ木峠8:03−(写真を撮りながら)−蓮華岳9:18/10:03−針ノ木峠10:40?/11:55(テント撤収)−(針ノ木雪渓)−大沢小屋13:02−針ノ木岳登山口(扇沢)13:35

【参考文献】
山と高原地図3鹿島槍・黒部湖1995年版(昭文社)
日本アルプス登山と探検(著者:W.ウェストン/訳者:岡村精一・平凡社ライブラリー)
日本アルプス再訪(著者:W.ウェストン/訳者:水野勉・平凡社ライブラリー)

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