ちょいバリ2015年 
その1 その2 その3
明神岳東稜主稜
 穂高コブ尾根
西丹沢マスキ嵐沢
 その4   その5  その6  
 北岳バットレス
dガリー奥壁偵察
北岳バットレス
dガリー奥壁核心
 
 子持山獅子岩
山の手帳  ちょっとバリエーション
 このページは「ちょっとバリエーション」に分類されるもののうち、無雪期の山行に関する記録を年次単位に整理するつもりで新設しました。
穂高コブ尾根(北アルプス南部・穂高連峰・2015年7月下旬・1泊2日)
無雪期バリエーション/岩稜登攀初級(1級・V+)
その1
 その2 その3
その4  その5 その6 
 0.はじめに
  (マウスポインタを合わせると画像が切り替わります)
 2015年の夏山行第一弾は穂高のコブ尾根へ行きました。
 コブ尾根は、穂高の主稜線上にあってジャンダルムのすぐ南西隣のピーク(コブ尾根の頭3140m)から南方へ派生し、岳沢小屋へと続く標高差1000m、1.4km程の尾根。その名称は上部岩稜帯に鎮座するコブT峰(コブ)に由来しています。
 当該岩峰は、大同心(八ヶ岳横岳西壁)や奥穂ジャンダルムには及ばないものの、小槍程のスケールがあり、コブ尾根の頭はもちろん、上高地からでも容易に指摘することが出来ます。ただ、奥穂の懐深くに位置するせいか、稜線歩きをしていた頃は、ほとんど目に留まらず、名前を知っているだけでした。
 ところが、2009年に奥穂南稜に登った際、藪の切れ間から覗いたその圧倒的な存在感に驚かされ、登高意欲を大いに掻き立てられました。昨秋の1回目の飛騨尾根の折にも検討しましたが、小屋の人から「わざわざこの季節に行く人はいない」と言われ、取付の偵察だけで断念しました。思うに、その理由は次の通り。
  そもそも、岳沢ベースのバリエーションルートは下部が藪尾根となっているものが多く、これを回避するためリッジ間の沢やその枝沢のルンゼで高度を稼ぐのですが、それが安定した雪渓となっているとき、すなわち残雪期が最も快適で旬と言えます。ただ、残雪期はそれなりの雪上技術を要求され、初心者には少々ハードルが高いのも事実。となると、確かに、無雪期のアプローチは楽しくありませんが(脆い岩場やガレ場歩き)、技術的には容易なので(無雪期は何れもクライミング入門〜初級レベル)、私たちのようなクライミング初心者には、無雪期の方がチャレンジしやすいと言えるかもしれません。
 しかしながら、コブ尾根の場合は、コブ沢雪渓の崩壊が進むと、取付手前に困難なCS滝が現れたり危険なスノーブリッジに阻まれ、コブ沢からコブ尾根アプローチ道となるルンゼへのコンタクトが困難となります(コブ尾根登攀よりアプローチの方が難しい)。そこで、無雪期にコブ尾根に登るなら、梅雨明け後なるべく早い時期が良く、秋はあまり登る人がいないというわけです。
 ところで、今年は夏山本番を控え、kniferidgeは、以前からの慢性的な左手母指球の痛みに加え、2週間ほど前に右足親指を捻挫してしまいました。10日程は通常歩行にも支障がでる状態でしたが、漸く足の痛みも和らぎ、テーピングを施し、ソールの堅い登山靴でなら普通に歩けそう。コブの岩登り自体は容易で短いとのことなので、手始めに本ルートに挑戦してみようと思った次第です。
 なお、1泊2日なら、1日目に岳沢まで登ってコブ沢偵察、2日目早朝からアタック装備のみでコブ尾根登攀後、天狗沢・岳沢経由で上高地へ下山が一般的です。ただ、今回は足に不安がある上、2月近く山歩きから遠ざかっているので、長丁場となる2日目の行程の短縮を図り、入山日にマイナーピーク手前のビバークサイトまで登ることにしました。
メンバー夫婦2人
日程:7/26(日)〜27(月)25日夜発1泊2日(マイナーピーク手前の稜上幕営)
 7/26(日)  入山(上高地)+アプローチ1(上高地〜岳沢小屋)
   アプローチ2(岳沢小屋〜コブ沢左岸のルンゼ取付)
   アプローチ3(ルンゼ取付〜マイナーピーク手前のコル(幕営地))
 7/27(月) コブ尾根登攀(幕営地〜コブT峰〜コブ尾根の頭)
  下山(コブ尾根の頭〜天狗のコル〜岳沢小屋〜上高地)
 
7/26(日)
 1.アクセス及びアプローチ
 (1)アクセス(上高地まで)
 7/25夜、横浜出発。横浜青葉ICより圏央道・中央道経由で長野道松本ICで高速を下り、同日23:30沢渡着(休憩買い物込みで3時間45分)。
 なお、駐車場はこれまでは下山後の風呂が近いという理由から、一番下の沢渡大橋駐車場を利用していたが、今回は始発の沢渡バスターミナルからバスに乗ることにした。到着時は2/3位の入りだったが、翌朝シャトルバスの始発(5:10)の前にほぼ満車となった。
 (2)アプローチ1(上高地〜岳沢小屋)
 明神東稜の時(6月)より始発が30分早く、今回は6時前から歩き始める。河童橋を渡り梓川右岸道から岳沢登山口へ向かう。ザックを背負った人の多くが左岸道(徳沢・横尾方面)に消えて行き、岳沢道は人影もまばらだった。
 今回も全行程フル装備で歩くため、なるべく軽量化に努めたつもりだが(50mロープ1本、寝具はシュラフカバー)、アックス・クランポンが必要なので、スタート時の荷物重量は、各水1L込みで、kniferidge15kg,monchan11kgとなった。これは明神東稜と比べ2人で2kgの軽量化(シュラフとウエア分)、奥穂南稜へ行った頃より不要装備の削減・装備の更新で7〜8kgも軽くなっている。ただ、その分体力が落ちたようで、6番標識辺りから徐々にペースダウン、岳沢小屋までにごく普通の単独ハイカー(トレランではない)3人にパスされた。
 岳沢小屋のテラスで朝食。ビバークに備え、消費した分の補充に加え二人で5Lの水を追加した(水合計7L)。
 
(3)アプローチ2(コブ沢)
 コブ沢は、岳沢小屋のテラスの真下から天狗沢登山道を5分程歩き、最初に出合う沢(コブ尾根末端の樹林を抜けてすぐの沢)。これを横断する天狗沢コースと分かれ、涸れ沢の方を登る(出だしはペンキマークあり)。
左画像:8:15天狗沢コースとコブ沢の出合付近(方向に進む)
 コブ沢に入って10分程で雪渓尻が見えてくる。末端付近はベルクシュルントが開いていたので、雪渓が安定するまで暫く右岸沿いを歩いた。
 落ち着いたところで、アルミクランポン(前爪あり)を付け雪渓を歩く、大した傾斜ではないのでこの辺りでは不要かもしれないが、状況が悪くなってから慌てるより、早めに付けた方が無難。因みに昨年秋偵察したときは浮石だらけのガラガラのガレ沢で極めて歩き難くかったが、今回は本当に雪渓の有難味を痛感した。
2015年7/26.8:41  2014年9/29の左画像付近の画像
 
 穂高コブ尾根・2015年7月
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