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ちょいバリ2013年 
その1 その2 その3 その4
城山南壁
南西カンテ
城山南壁
南西カンテ
二子山
西岳T峰
中央稜
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二子山西岳T峰中央稜2013年4月  
 その1 その2 その3
 2.中央稜登攀(つづき)
(1)下部岩稜
 2P目(下部岩稜)スラブ状リッジ/30m弱・X-
 2P目は、オリジナルラインの凹角の左の
スラブ状リッジを登る。
 上部は左側から巻き上がるとホールドが多い
  2P目は、急なスラブ状リッジを登り、凹角の下のバンドまで(30m弱・X-)。
 出だしはホールドが乏しく、妻は少し戸惑っていたが、左上するよう指示してからはスムーズにロープが出るようになった。中間部は直上し、バンドへはクラックのある左側から巻き上がると支点もホールドも多く容易。このピッチから下部岩稜の中間支点はほとんどペツルのボルトで安心。
 3P目(下部岩稜)クラックのある長い凹角/40m弱・5.8
 中間部は急だし、ホールドが乏しく、ちょっと難しい(左画像付近が核心)。
核心部を抜けると傾斜が緩み一安心(右画像)。
 3P目は凹角の中にある「逆さY字クラック」の登り。2本のクラックが1本になる要の部分から数mが難しく、ルート全体の核心のピッチ(40m弱・5.8)。終了点は大テラスの上の立木。
 なお、大テラスは、下部岩稜(「中央稜下部」)と、比較的容易な上部岩稜(「中央稜上部」)を分ける場所で、ローソク岩方面や一般上級ルートの取付(股峠方面)から踏跡を辿ってくることもできる。
 2本のクラックのうち右側のものに沿って直上する部分は、出だしはステミング、途中からレイバックで登った。要の部分でフットジャムを決め、ピンにクリップしてレストする。緊張しているのか喉が渇いたのでスポーツドリンクを飲む(こういう場面ではハイドレーションシステムが有難い)。
 この先の数手が本当の核心、時折フォールする人がいるようで、ペツルのボルトがごく短い間隔で2本連続して打ってある。気を付けないとZクリップする虞れがあり、ロープの結びめを確かめて慎重にクリップした。
 当該ボルトまでは、フットジャムが有効だが、その上はクラックが広がっていて利きにくくなる。ホールドは、数手上にガバがあるものの、そこまで頼りになるのは一か所ある右手カチだけ。前回はフィストサイズのカムを入れてこれを引いて突破したが、再度現場を見ても、これといった解決策が浮かばない。「落ちるくらいなら無理せずA0で行けよ」といつもの弱気の虫が顔を出し、キャメロット#3を試すが、前回はフレンズ#4使っていたようで、小さすぎて決まらない。今回はフリーで突破するしかなさそうだ。
 
 安定したところまでクライムダウンし、もう一度オブザベーション。
基本的には右手カチを頼りに、右足を垂壁に突っ張ってステミング気味に上がるという方針。ただ、右手カチだけで壁に立つ気にはならないし、こぶしを入れてもジャミング出来ず悩んでいると、ふと去年の夏の1シーン(大同心北西稜)が浮かんだ。それはドーム直下の被ったクラックを登った際のものだった。
そこで、その時と同じように左肘までクラックに入れてみると、上手くブロックできそう。これと右手カチの組合わせで、祈るようにして右足で立ち込んでみると、左足がピタッととまるところまで上がり、何とか上のガバを取ることができた。思わずガッツポーズ!!

 核心を抜けると傾斜が緩み容易になる。ややランナウト気味でちょっと怖いと思うところがあった。また、ロープがクロスした箇所があったようで、フォローのビレー時はロープが重くて苦労した。

 今回もこのピッチは時間がかかったが、前回のように疲れは感じなかったし、何より二人ともA0なしで登ることが出来たのが嬉しかった。
 
(2)上部岩稜
 4P目(上部岩稜)階段状の岩場〜小ハング/30m・W+
 上部にある小ハングが核心  核心部はクラックに入らず
その左側から登ると容易だった。
 4P目は、上部岩稜最初のピッチ。階段状の岩場(V)を上がり、レッジからやや被った岩を乗越して(W+)、広い草付テラスまで。
 階段状の岩場は右の上昇バンド沿いに登ると一層容易だが、直登してもV程度。
上部は小ハング下にペツルのボルトが打ってあり、このボルトの上にあるクラックが登路のように見えるが、これはちょっと難しい。妻は、前回同様、クラックの左から段差のある岩を乗越すラインを登った(ホールドが多く容易)。小ハングを越えると広い草付テラスとなっており、その上の垂壁に終了点が作ってあった。
 
 5P目前半(上部岩稜)フレークのあるフェース〜リッジ/25m弱・X-
 4P目最上部の草付テラス  5P目出だしのフレークのある垂壁
 5P目は、ガイドブックのトポの@5P目相当とA6P目相当(左ルート)を繋いで登ったが、50mぎりぎりで冷や汗をかくことになった。
 @は10m程の垂壁を登りリッジ右のコーナーからリッジに上がるまで。
  リッジに上がると、短い間隔で2か所テラスがあり、それぞれに終了点が作ってあった(文献Aの二段のスラブ)。下はリッジの左寄りにあり、6P目で左ルート(リッジ左のコーナーを登る)を採る場合の取付のらしい。他方、上のテラスのものは右寄りにあり、こちらは右ルート(リッジ右のコーナーから凹角を経由するラインで前回登ったもの)の取付と思われた。
 @は垂壁上部にあるフレークの登りが少し難しく、ここが『マルチピッチ』でX-とグレーディングされている箇所だろうか。
 リッジ上の下のテラスに到達したときロープはまだ半分以上残っていた。次のピッチが困難であれば、もう少し慎重に行動したのだろうが、リッジ沿いの登りは容易そうで、ろくに考えずそのまま登攀を続けてしまった。
 5P目後半(上部岩稜)スラブ〜リッジ左の凹角/30m弱・W
 下部は2段のスラブの登り  上部はリッジ左の階段状のコーナーを登った
 Aは2段の緩いスラブからリッジ左の階段状のコーナー沿いを登ってピナクル下のテラスまで。
 Aは初めてだったが、ラインが素直でルートファインディングは前回の右ルートより容易だった。概ねVくらいの登りが続き、終了点のあるピナクル下のテラスへ上がるところが急、その核心の1,2手がWだろうか。登攀自体は容易だが、ややランナウト気味に感じた(前回登った右ルートよりむしろピンは少ない)。
 
 もうすぐ終了点というときに「あと5m」のコール。ピッチを切ろうにも適当な場所が見つからず、戻るとすればかなりクライムダウンしなければならない。段差のある岩を一段上がるだけなので「いっぱいになったらコンテ」と一声をかけて、そのまま登った。後で聞いたら、「5m」のコールの後もロープが出るので、セルフビレーを解除して少し登ってくれたそうだ。メインロープではセルフビレーを取れなかったが何とか終了点には届いた。
 後日、トポを見返すと、『5P目30m、6P目40m、7P目30m』となっており、5P+6Pの組合わせでも6P+7Pの組合せでも繋ぐと額面通りなら70mとなり、50mロープでは足りない勘定。ただ、トータル6Pとするなら、5P目(実質25m弱)より7P目(20m弱)の方が短いし、後述の通り、7P目相当は容易なので(ほとんど歩き)、もし繋ぐなら後者の組合せの方が得策だと思った。
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