ちょいバリ2012年 
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 このページは「ちょっとバリエーション」に分類されるもののうち、無雪期の山行の記録を年次単位に整理するつもりで新設しました。
稲子岳南壁左カンテ(北八ヶ岳・2012年9月下旬・当日発日帰り)
 妻の捻挫も大分良くなり、リハビリ兼ロープワークの練習目的で、「稲子岳南壁左カンテ」へ行きました。
 稲子岳南壁は、八ヶ岳にしては岩が堅く人工登攀を中心に多くのルートが拓かれていたそうですが、最近では今回の左カンテくらいしか登られていないようです。左カンテは、南壁では最も易しく、
5ピッチ2時間弱、各ピッチV〜V+の初心者ルート。カンテというより内面登攀主体で、少々ランナウト気味と思われる箇所はあるものの、然程気にならず(カムは使用しなかった)、ロープワークトレーニングに丁度良い感じ。
 苦労したのは、むしろアプローチの方でした。他の登山口(稲子湯や黒百合平方面(唐沢鉱泉))より30分ほど短いということで、あまり記録がない麦草峠から歩いてみましたが、これが失敗(初見の場合の話で、事情が分かっていれば使えるコースです)。まず、ニュウから稲子岳へ至る稜線の分岐が樹林に覆われ分かりにくいこと。入口さえ見つかれば、中は比較的しっかりした踏跡が続いています(中に入るとテープ等もありマイナーな一般道並)。それだけに、中山峠へ向かう一般登山者が誤って入り込まないよう、入口を意図的に分からないようにしてある感じ(逆コースなら問題なし)。
ニュウより南西方向の展望
が稲子岳へ至る尾根
ニュウより中山峠方面の一般道を
5分程歩くと、この梯子が現れる。
稲子岳へは
梯子のすぐ手前から左に入る。
稲子岳へ至る踏跡の入口
表示・テープ等なく分かりにくい
一般道を前掲の梯子より少し先まで進むと展望地がある。稲子岳へ至る稜線は左手にあり、既に分岐を通り過ぎたことに気が付いた。
分岐(入口)さえ見落とさなければ、先は樹林の中の尾根道、テープも多く、比較的明瞭な踏跡が続く。
ニュウ辺りから気になっていたガスは、樹林を抜け稲子岳の頂稜を歩く頃には一層濃くなりいやな予感。南壁基部へは、最低鞍部付近から南下する道(踏跡)を下り、その途中から左(東)へ曲がって水平な踏跡を歩きます。ところが、この入口が、また分からない。それは、基部へ至る道より手前に南壁中段テラス(昔はルートがあった各岩場の終了点か?)へ続く比較的明瞭な踏跡が数本並行しているからです。初めてなので、その都度確かめに行き、ここでもタイムロス。
樹林を抜けると稲子岳の頂稜に出た。は天狗岳、は左カンテ終了点のピナクル
厄介なことに南壁側からガスが湧き出している。この辺りからコマクサ保護用のロープが張ってあり、
最低鞍部付近までのルートは明瞭になるが・・・・・。
 漸く立木にテープがあるところまで下り、目当ての水平道と思われるところを見つけたものの、この頃には、とうとう岩壁が全く見えなくなっていました。時折ごみ等が落ちており、左カンテの取付は近いと思われるものの、なかなか見つかりません。取付にも行けず敗退かと半ば諦めかけていると、しばらくの間ガスが切れ、南壁のほぼ全容が見えるようになります。早速トポと照合するとルンゼ状の凹状壁の直下辺りにいることが分かりました。現在位置が分かれば後は簡単、少し戻ったところにある草付を左上するとネットの写真で見覚えのある左カンテの取付に出ました。
頂稜〜最低鞍部辺りはテープがない。南へ下っていると漸くテープのある立木が現れる(左画像)。
*この途中には左(東)に入る踏跡が何箇所かあった(南壁の中段テラスへ続いている)。
テープのある立木から左手に入ると南壁基部だったが、ガスっていて南壁のどの辺りにいるのかさっぱり分からない。
諦めて帰ろうかと思っているとガスが切れて南壁が姿を現した。
左カンテ(左の岩峰)、凹状壁(中央やや左のルンゼ)、エギーユ垂壁(中央のボロボロの壁)、中央フェース(右)だろうか。
 結局、アプローチ2時間の予定が3時間半以上かかり、昼過ぎからの登攀となりましたが、前述の通り易しいルートだったお陰で、夕方明るいうちに麦草峠へ下りることができました。
 なお、妻の足の状態ですが、足首をサポーターで固定しハイカットブーツで歩いたものの、下りはやはり辛そう(特に段差のあるところ)、本来のペースで歩けるようになるにはもう少し時間がかかりそうです。
前掲の写真を撮った地点から少し戻って草付を左上気味に一段上がると(左画像)、テープがついた立木があり、目の前は写真で見覚えのある取付だった(中画像)。 (右画像)1P目(カンテ〜浅い凹状35mV)を登るkniferidge
2P目(凹角30mV)を登るmonchan 3P目(階段状〜チムニー35mV+)
を登るkniferidge
3P目途中から見た左フェースとルンゼ(下降ルート)
   
4P目(ガラ場〜リッジ上の薄被りフェース
40mV+)を登るmonchan
核心?の薄被りフェース 5P目(階段状〜クラックのあるフェース20mV)を登るkniferidge
 9/24(月)
天候:曇り
【山行データ】
【行程】山行日9/24(日帰り)
 ==は車,--は徒歩
自宅(横浜)3:30==(国246号・国16号・中央道(八王子IC入))==>諏訪IC==(国299号)==白駒池入口駐車場(麦草峠500円/1日)7:50/8:17--[白駒池〜ニュウ〜稲子岳〜南壁基部〜左カンテ登攀〜稲子岳〜ニュウ〜白駒池(【山行データ】参照)]--白駒池入口駐車場16:40/17:00==諏訪IC18:10==>(中央道(八王子IC出)・国16号・国246号))==>自宅20:45
○車による往復移動時間(自宅(横浜)〜麦草峠)8時間5分
 [内訳]往路(平日早朝)4時間20分/復路(平日夜)3時間45分)
 *諏訪IC〜麦草峠は片道1時間くらい
【山行データ】
○行動時間8時間23分(@ABの合計)
@アプローチ3時間40分(途中休憩・道迷い等によるタイムロス推定1時間10分含む)
 [内訳]白駒池入口駐車場--1時間15分-->ニュウ(休憩5分)--1時間3分(道迷い20分含む)--稲子岳--1時間27分(道迷い及び視界不良によるタイムロス推定50分含む)-->左カンテ取付
A左カンテ登攀2時間23分(昼食・登攀準備を含む)
 [内訳]左カンテ取付(昼食・準備28分)--1時間55分-->稲子岳
B下山2時間20分(頂上休憩・下山準備含む)
 [内訳]終了点=稲子岳(撤収・休憩等30分)--1時間50分-->白駒池入口駐車場(麦草峠)
9/24(月)
天候:曇り
[詳細データ]
白駒池入口駐車場(麦草峠)8:17--白駒池8:27--ニュウ9:32/37--中山峠・稲子岳分岐10:00(分岐が分からずタイムロス20分(∵入口の踏跡不明瞭・表示テープなし))--稲子岳10:40--最低鞍部10:45--(道迷い推定15分)--南壁基部分岐11:03--(視界不良によるタイムロス推定35分)--左カンテ取付11:57/12:25L発(昼食・準備)--(5P/@35mVA30mVB35mV+C40mV+D20mV)--終了点=稲子岳14:20F着/50(撤収・休憩)--中山峠・稲子岳分岐15:29 --ニュウ15:32--白駒池16:30/32--白駒池入口駐車場(麦草峠)16:40

【参考文献】
1.山と高原地図32八ヶ岳(昭文社・2008年版)
2.日本登山大系8八ヶ岳・奥秩父・中央アルプス(柏瀬祐之・岩崎元郎・小泉弘編・白水社・1997)

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