前穂高岳北尾根
2001年8月29日(水)〜31日(金)幕営2泊3日
8/29上高地-横尾-涸沢(幕営)
8/30涸沢−X・Yのコル−北尾根−前穂高岳−奥穂高岳−涸沢(幕営)
8/31涸沢−横尾−上高地

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【概要】
北尾根は前穂高岳から北東方向へ派生する岩稜(末端は屏風岩)でその美しいスカイラインは日本三大岩稜(他は槍ヶ岳北鎌尾根・剱岳八ツ峰)にも数えられるとのこと。
北尾根は前穂高岳を1峰とし最低コルにかけて八つのピークを連ねていますが、今回は私達の実力を考慮して岩稜帯を形成する5峰より上部を登りました。→それでもやはり厳しかった!
なお、このルートもバリエーション入門ルートで初歩のクライミング技術を必要とします(ルートグレード1級・ピッチ最高グレードV〜W)。

《ルートの印象》
ロープ確保を必要とする3峰の登りが核心ですが、数年前の地震の影響でW峰のルートが荒れており(浮石だらけ)、緊張したのは4峰の方でした。また4峰はルートが不明瞭な所があります。
3峰は遠見には怖そうですが(私だけ)、実際取付いてみると然程困難な所はないし、各ピッチの終了点のテラスが広いこともあり確保されていれば案ずるほどのことはありませんでした。もっともロープワークもクライミングも下手なので時間はたっぷりかかっています。

先日の源次郎尾根と比較して北尾根の方がクライミングのウエイトが大きくこちらの方がやや難しく感じましたが、それだけ達成感もありました。
北尾根は登攀終了後頂上までの歩きが短いのもありがたいです。でも涸沢までの下山(奥穂経由)は長かったなー。

2回の夏山行(源次郎尾根・北尾根)を経験してみて自分達でバリエーションルートに行くにはまだまだ実力不足。特にゲレンデでのマルチピッチの練習の必要性を痛感しました。
日程、コース及び時間、並びに天候は以下のとおりです。
【日程・コース】2001年8月29日〜31日
8/29(入山日):上高地−横尾−涸沢(幕営)
8/30(登頂日):涸沢−5・6のコル−北尾根5・4・3・2峰−前穂高岳−奥穂高岳−白出のコル−涸沢(幕営)
8/31(下山日):涸沢−横尾−上高地
 【山域・山名】 
 北アルプス南部 /前穂高岳(3090m)奥穂高岳(3192m)       
【地図・ガイドブック等】 
 《アプローチ/ ガイド》
 2万5000図「穂高岳」
 昭文社エアリアマップ「上高地・槍・穂高」
 アルペンガイド「上高地・槍・穂高」2000年版(山と渓谷社)
 日本の岩場下巻(クライミングジャーナル編、白山書房)
 
《ルート図(トポ)/ルートガイド 》
 Rock&SnowBooksアルパインクライミング(遠藤晴行編、山と渓谷社)
 日本のクラシックルート集(山と渓谷社)
 山と渓谷2001年7月号p35
 穂高連峰を歩く(鈴木昇己・内田修、山と渓谷社) 
 日本アルプス特選100コース(山と渓谷社・絶版)
 【メンバー】2名(私+妻)
【天候、コースタイム】
◇8/29(水)晴れ
自宅(横浜)4:40=車=沢渡大橋8:57/9:20=バス=上高地9:50/10:05−徳沢11:25/30−横尾12:20/37−本谷橋13:33/38−涸沢テン場15:03(幕営)
◇8/30(木)曇り時々晴れのち雨
涸沢7:30−5・6のコル8:35/55(登攀具着ける)−5峰9:30/35−4・5のコル9:41−4峰10:52/11:00−3・4のコル11:10/35−(ロープ使用:スタカットで6P・注)−3峰13:48/53−2峰14:01−(懸垂下降)−2峰のコル14:23/29−前穂高岳14:37/50−紀美子平15:15−奥穂高岳16:35/40−白出のコル17:08/17:12−涸沢18:37(幕営)
◇8/31(金)朝方雨のち曇り時々晴れ
涸沢11:55−本谷橋12:56/13:00−横尾13:50/57−徳沢14:49/15:00−上高地16:15/20=バス=沢渡大橋16:?/16:57-入浴(妙鉱)・食事->22:45帰宅

注:通常は3・4のコルから20m程登った取付より3P及び3峰頂上直下の5m(涸沢側を巻くことも可)をスタカットで登り他はコンティニュアス。
【山行メモ】
30日は午前4時に起床。出発の準備をしたが空は厚い雲に覆われ今にも降りだしそうな天気。諦めて一眠りしていると日差しを感じ慌てて飛び起きる。既に7時を回っている。自分達の実力を考えると遅すぎるとは思ったが、悩んだ末、穂高岳山荘に泊まることも視野に入れて出発することにした。

《涸沢〜5・6のコル〜5峰》→写真1@〜E参照
涸沢カールの雪渓の左端に沿ってガレ場を20分ほど歩くと明瞭な踏跡(赤ペンキの表示あり)に行き当たる。この踏跡を辿り急なガレ場をさらに40分程登ると5・6のコル(テント5〜6張分位の広さ)。
→ここでハーネスをつけた。
コルから見上げる5峰は一見凄いナイフリッジで驚かされるが実際に登ると涸沢側のハイマツ沿いに広い踏跡がある。
→表示はないが一般ルートとあまり変わらない感じ
5峰頂上のすぐ先の岩峰を涸沢側から巻いて4峰とのコルに下りる。
《4峰》
4峰はガラガラした感じのピラミダルなピーク。見るからに岩がもろそうでいやな感じだが、数年前の地震の影響か一抱えもある岩がグラッとして何度も驚かされた。

4峰はルートファインディングが難しく感じた。4峰へは、(1)始めは涸沢側を登り、(2)赤ペンキの表示(稜線上ではここだけ)に従って奥又白側の緩傾斜帯(奥又白の池が見える)に出て、(3)頂上直下のバンドを右上してリッジに戻り涸沢側から頂上に出る。
→特に(3)のリッジから涸沢側へ回り込む所がわかりにくかった(奥又側からは涸沢側の踏跡が見えないため)。
なお、奥又側頂上直下には積雪期のものと思われる懸垂支点があり、誘い込まれやすいが容易に登れそうにないフェースだった。

4峰の頂上は大岩が積み重なった細長いピーク、両側が切れ落ちていて落ち着ける感じではなかった。3峰の迫力のある岩壁が目前なのでなおさら。→「とんでもない所へ来てしまった」というのがこの時の私の正直な印象だったが、妻は平然としていて「ガイドブックの写真よりスケールが小さいな」と思ったそうだ。連れて行ってもらったとはいえチンネ左稜線を経験(妻だけ)した自信からか?
ガスっていて奥穂は上部が見えずがっかり。
涸沢側から3・4のコルへ下りる。
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