谷川岳一ノ倉沢/烏帽子岩南稜
湘南鷹取スクール
2001年5月20日(日) 

指導者:嶌田師匠
参加者
Aさん Sさんご夫 Kniferidge&Monchan


(1)アプローチ

烏帽子岩南稜ってこんな所
烏帽子岩南稜は一ノ倉沢では入門ルート(ルートグレード3級上・最高ピッチグレードW+)

 
稜○」と「陵×」
最近、阿弥陀南稜・北稜、奥穂南稜・北穂東稜、一ノ倉沢烏帽子南稜等をネット検索すると、「稜」が「陵」となっている記述をよく見かけます。これらは、一応、急峻な岩稜上にある登攀ルートで、その尾根は角張っているので、「稜」が正しいことは言うまでもありません。
「陵」という誤記は、上掲のような当該山域のバリエーションルートで入門・初級とされるものに集中しているように感じます。
そもそも、「陵」は、丘陵、天皇陵等、こんもりした丘のような地形に使われるのですが、日常生活で馴染みの深い宅地においては、「陵」の方が使用機会が多いようです。このため、宅地ではないのに、例えば、「あみだなんりょう」をワープロソフトで変換したり、ネット検索をしてみると、変換候補として「稜」より「陵」の方が先に出て来てしまい、これが誤字の原因だと思われます。
因みに、山岳地形では、山稜(尾根)、稜線(ピークとピークを繋ぐ尾根)等、「稜」は使いますが、通常「陵」が使用されることはありません。
私は、上掲のような初心者ルートでも、いざ行くとなると緊張するので、検索などで、お墓を連想させる南「陵」などという記述は、何となく不吉で嫌な印象を受けてしまいます。こんなことを書くのは大人げないと思ったのですが、単なる誤字と見過ごせないほど多いので、敢て取り上げてみました。
*谷川岳遭難防止条例の危険地区に該当し入山10日前までに登山指導センターへ事前届出をし(現地出頭)、届出済証を携行がすることが義務付られています。

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一ノ倉沢出合〜テールリッジ取付は雪渓歩き
下りは軽アイゼンがあった方が無難

一ノ倉沢出合
登山指導センターのゲートは閉じていた。
テールリッジまで緩い雪渓登り
一ノ倉沢のシンボル衝立岩
テールリッジ取り付き

テールリッジ(衝立岩中央稜の裾尾根)の登り
部分的にU〜Vくらいの岩登り(フックスロープあり)。

テールリッジ下部

テールリッジの右に見えるのは
烏帽子スラブ

衝立スラブ

衝立岩中央稜基部〜烏帽子沢奥壁基部横断バンドのトラバース
ここからは落石の危険があるのでヘルメットを着用。

衝立岩中央稜基部
烏帽子沢奥壁基部横断バンド
は奥壁を登るクライマー
左の裾尾根がテールリッジ
中央は烏帽子スラブ
右は烏帽子岩南稜の末端

南稜テラス(ルートの取り付き)付近

南稜テラス直下

烏帽子岩南稜

烏帽子沢奥壁変形チムニー

(2)登攀1:南稜テラス〜5P終了点
先発パーティー(Aさん-Kniferidge-師匠)/後続パーティー(Sさん-Monchan-Sさん

1P:スラブ状フェース〜チムニー(30m・W)
ダブルロープとツインロープの使い分けを習いました。

※このピッチはトラバースがある曲線的なルートなのでダブルロープで(ツインでなく)登ります。
ダブルロープは左右の支点に2本のロープを振り分けながら登るので曲線的なルートでもロープの流れが良いのが特徴。
ただ、クリップする時に気をつけないと2本のロープがクロスし、かえってロープが流れなくなることがあります(左画像)。
右画像:師匠がクロスしたロープを直しました。
リードは予め先を読んでクリップしなければなりませんが、実際に登っている時は予測出来ない事も多いのでビレイヤーが適切な指示を送ることが必要です。→誰だ、ビレイヤーは!・・・・・すいませんKniferidgeです。
一方、直線的なルートでは同じヌンチャクに2本のロープをかけるツインロープも多用されます。
→2P目以降は直線的なルートが多いのでほとんどツインロープで登りました。
1P目終了点付近
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右画像:左からテールリッジ、烏帽子スラブ、南稜末端、一の倉沢本谷。
2P:ホールド豊富なフェース
(25m・V)

3P:草付帯(60m・T〜U)
4P:ハングしたフェースを左から巻きリッジへ(25m・V)

2P目を登るAさん
簡単だがちょっと高度感があった
比較的楽な3P4P 4P目ハング部分を巻くところ
途中に歩きの部分(3P)があって一息つける。4P目は下降者を避ける為一段下でピッチを切った。
南稜は人気ルートである上、烏帽子沢奥壁の下降路にも利用され頻繁にすれ違いがある。 滝沢方面を望む

5P:テラスから右上して馬の背リッジ&奥壁側クラックを登攀(30m・W-)
馬の背リッジは凄い高度感!!
一段下でピッチを切った為(4P)、5P目は50mロープで足りず、セカンド・ラストは一部コンテで登る。
後続のS
MS組はリッジ上でピッチを切り都合7Pとなった。

5P目をリードするAさん
この後右のリッジに上がる。
左上は六ルンゼ右俣(下降路)
師匠の「あと10m!」コールも届かず、フォローは一段上のテラス(左画像のAさんのところ)までコンテで登った。
馬の背リッジ

 (3)登攀2(6P目)&下降 

6P:傾斜の強いフェース(20m・W+)
核心の最終ピッチ、このフェースは下から見たときより急な印象(最上部80度)。

 

一旦やや右上して直登。中間部は簡単だが最上部が思っていたより急でちょっとビビッた。
特に終了点のテラスに上がる所は左手にガバがあるものの右はホールドが甘め。左足でマンとリングしようとするがちょっと厳しい(後続のSさんは強引に突破したが)。「Aさん張ってください」→あ〜情けねー、これじゃリードできないじゃないか。
師匠「ここが難しく感じるということはホールドが見えてませんね。もっとよく見てください。」

6P目最上部(ルート全体の核心部)を登る師匠

終了点で師匠「あそこは左のガバを使ってレイバック風に登れば何でもないですよ」
Kn「????」
後でこの画像を見て納得。
終了点から懸垂岩(左)と烏帽子岩(右)

下 降(50mロープ2本で5ピッチ)
こんな長い懸垂下降は初めて。
上部2Pは六ルンゼ右俣を下降、3P目は空中懸垂あり。

 

1P目 2P目 3P目
とにかく師匠は下降が速い。デジカメのスイッチを入れてシャッターを切るまでに1P目を終えてしまった(左)。
南稜テラスで記念写真!
コースタイム(参考)一部推定
 
登山指導センター6:00発--一ノ倉沢出合6:36/45--テールリッジ取付7:10/18--中央稜取付7:59/8:10--南稜テラス8:25/9:02(先発トップ登攀開始)--1P終了点10:05(後発ラスト着以下同)--2P終了点10:28--3P終了点10:50--4P終了点11:17--5P終了点12:40--6P終了点13:20/42--懸垂下降5P--南稜テラス15:30/45発--テールリッジ取付16:37/47--一ノ倉沢出合17:00/08--登山指導センター17:45着
(注)南稜テラスより先の登りは3人2組で登攀。
 蛇足ながら、「南」ではなく、正しくは「南」です。
 
ガイドブック
日本のクラシックルート集(山と渓谷社)
ヤマケイ登山学校「アルパインクライミング」(山と渓谷社)
地図:山と高原地図「谷川岳」(昭文社)
ちょっとバリエーション
山の手帳


 

  

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